始めましょう、素晴らしきアクア生活。

Vol.5 そんなことありません
「難しいイメージ」

素人が簡単に始められないイメージ

アクアリウムを勧めるとよく耳にするのが「難しそう」「私にはできないかなぁ」「すぐ死んじゃいそう」という意見です。 もちろん、飼う生き物の種類や植える水草、目指すレイアウトのイメージによっては難しくもなりますが、そもそもアクアリウムはもっと気楽に楽しめる趣味のはずです。 ではなぜ難しいというイメージなんでしょうか?

金魚が死んでしまった経験?

日本人にとって魚を飼育した経験の多くは、子供の頃夏祭りの縁日や夜店などで行われている金魚すくいで採ってきた金魚を飼育したというものじゃないでしょうか。 よく聞くのが飼い始めて1週間くらいで死んでしまったとか、病気になって死んだという記憶です。 私も子供の頃よく金魚を水槽で飼育してみたけどすぐに死んでしまい、庭先に放置していたら蟻が来て綺麗に骨にしてしまったのを思い出します(埋めてあげればよかったですね;)。

せっかく金魚すくいでゲットしても長持ちしないことが多い

金魚すくいの金魚が死にやすいのには理由があります。 そもそもすくいやすそうな個体を狙うわけですが、それはつまり弱っている個体ということになります。 元気な個体は素早く逃げますから、元気の無い金魚を持って帰る可能性が高いわけですね。

しかも金魚鉢のような小さい入れ物で飼う場合も多く、水草を入れるわけでもなく飼うわけですから長持ちさせるのは難しいのです。 金魚は意外と大きいので、水の量が少ないと水がダメになりやすく、死んでしまうリスクも高いというのもありますね。

いろいろ手をかけることが沢山あるイメージ?

アクアリウムを始める、或いはアクアリウムを維持する上で、難しい行程が沢山あるように思っている方も多いようです。 目指すアクアリウムの規模やレイアウト、飼育する生体、植える水草によっても違いますが、あまり手をかけなくても素敵なアクアリウムを楽しむことは可能です。 水換えを毎週やって掃除をし、中和剤を使ったり毎日決まった時間に決まった量の餌を与えたり・・・。多くの魚がそんなことをしなくても飼育可能ですし、十分楽しいアクアリウムを作ることが可能です。

最も簡単なアクアリウムスタイル

アクリムについて」でも紹介しましたが、ノーベル賞受賞の生物学者コンラート・ローレンツ博士が著書『ソロモンの指環』で下記のように語っています。

それはほとんど金がかからず、しかもじつに脅威に満ちたものである。
ひとにぎりのきれいな砂をガラス鉢の底にしき、そこらの水草の茎を二、三本さす。
そして数リットルの水道の水を注意深く流し込み、水鉢ごと日のあたる窓ぎわに出して数日おく。
水がきれいに澄み、水草が成長をはじめたら、小さな魚を何匹か入れる。
これでアクアリウムはできあがりだ

コンラート・ローレンツ『ソロモンの指環』より

機材もなく、特別な水を用意することもなく、アクアリウムが出来上がるということが書かれています。
実はやり方によっては簡単にアクアリウムを維持することも出来るのです。

植物を多く、動物を少なく、広々と飼育する

目指すアクアリウムがどんなものであるかは別として、簡単に始めてみるならそれなりのやり方があります。 その一例を紹介しましょう。

  1. 30cmくらいの水槽を用意します。できれば300mm × 300mm × 300mmのサイズの「30cmキューブ」と言われる水槽が見た目も可愛いし中が広々としてオススメです。
  2. 底に砂を入れます。砂はなんでもいいですが、後ろ半分をアクアソイル(土を焼き固めたアクアリウム用の土)の吸着系と呼ばれるものか園芸用の赤玉土にして、手前を明るい色のサラサラの砂にすると綺麗です。
  3. 水道水を砂が舞いすぎないようにそっと注ぎ、水槽の縁から3センチくらいまで水を張ります。
  4. 殺風景なので気に入った流木か石を適当にレイアウトします。
  5. 丈夫な水草を沢山植えます。ハイグロフィラ・ポリスペルマ Hygrophila polysperma や バリスネリア・スピラリス Vallisneria spiralis 、アナカリス(オオカナダモ)Egeria densa などの丈夫な有茎草を水槽の奥の方に植え込みます。
  6. 中国原産の丈夫で小型のコイの仲間であるホワイト・クラウド・マウンテン・ミノー(通称アカヒレ)Tanichthys albonubes を数匹泳がせます。
  7. 後から好みでミナミヌマエビ Neocaridina denticulata を入れたり、ウィローモス Vesicularia dubyana という水コケを石や流木に巻き付けても面白いでしょう。

これで完成です。
フィルターは?ヒーターは?エアレーション(ブクブク)は?と思うかも知れませんが、なにもなくて大丈夫です。 電源はなくても大丈夫ですが、水草を光合成させないといけないので、置く場所は観葉植物のように明るい室内かカーテン越しの窓際などがいいでしょう。 それが難しければ、簡単なLEDの照明をタイマーで1日7〜8時間点灯するようにすると、見た目も綺麗で楽しめるうえに水草の光合成を助けます。

ホワイト・クラウド・マウンテン・ミノーは中国原産の温帯魚なので、暑さにも寒さにも強く、ヒーターで加温しなくても越冬できます(水槽の水の大半が凍ったりするとダメですが、室内なら大丈夫です)。 水量に対して魚が少ないので必要な酸素量は少なくてすみますし、水草が多いので光合成によって酸素は作られます。無理に酸素を添付する必要はありません。
魚やエビは餌を食べて排泄しますが、糞による汚れは水槽内に自然発生するバクテリアによって分解され、最終的には水草が浄化します。 これはつまり、地球の自然で起こっているサイクルが水槽内でミニマムに再現されているってことなんですね。 そう考えるとすごくロマンがあるし、勉強にもなり、地球環境のことにまで思いを馳せてしまいます。 このスタイルのアクアリウムのことを『バランスドアクアリウム』と呼んだりするようです。

ほぼ、放っておくだけの簡単管理水槽

では、この水槽の管理は難しいのでしょうか?
そんなことはありません。 手を加えるとしたら3日に一回くらい少量の餌を与えることと、伸びすぎた水草をカットすること、干上がった水を足すくらいです。 足し水は、ウォーターフレッシュ(カルキ抜き)を入れる必要もなく、ジョウロや大きいコップなどで水道水をそのまま注いであげれば良いだけです。 観葉植物は水をあげるタイミング等が難しいですが、それよりももっと簡単だと思いますよ。

ホワイト・クラウド・マウンテン・ミノー(通称アカヒレ)は1匹50円くらいで買える安価な魚で、じっくり飼い込むと息を飲むような美しさになります。 LEDのライトで照らされた水草の前を泳ぐ美しい魚たちの姿をこんなに簡単に楽しむことがでるんですよ。 この水槽の具体的な作り方はまた別の機会に紹介することにしましょう。

もちろん色々な種類の熱帯魚や水草を育てて素敵なアクアリウムを目指すなら、色々機材や管理が必要になりますが、それは慣れてから挑戦してもいいかもしれませんよ。 挑戦すると言っても、育成難易度が高い魚や、気性の荒い魚の混泳、難易度の高い水草の育成などがなければ簡単にだれでも出来てしまいます。 むしろ、慣れてくると難しいことに挑戦するのが楽しくなってきますよ!

ホワイト・クラウド・マウンテン・ミノーはアカヒレという名前で売られています。肉食魚の餌として売られることもあるくらい安価で、なんとなく雑な扱いを受けている感もありますが、とても丈夫で美しく初心者にオススメの魚です。

簡単に始められます

そう、アクアリストには簡単になれるのです!いかがでしょう?アクアリウム初めてみませんか?

アクリム:松端秀明

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