プロから聞いた逸話

Vol.1 ありえない混泳

熱帯魚の王者「アロワナ」

大型の古代魚。アクアリストじゃなくてもその存在は広く知られている熱帯魚の王者「アロワナ」にまつわる話をご紹介しましょう。南米に棲むシルバーアロワナの大型個体を飼育していたマニアが実際に実現したという逸話です。

シルバーアロワナは、現地では木に留まる昆虫をジャンプして捕食したり、小型のカラシンなどを襲って食べる、言わずと知れた肉食のハンターです。周囲を伺いながらユラリと揺らめく堂々とした泳ぎは観る者を魅了します。

シルバーアロワナ
南米に生息する熱帯魚の王者シルバー・アロワナ Osteoglossum bicirrhosum

生き餌離れ

このシルバーアロワナ。もちろん肉食魚ですから、飼育するには金魚などの小型魚やエビ、生きたカエルや生きた虫などを餌として与えます。しかしそれ以外に、アロワナ用の人口餌やクリル(乾燥させたオキアミ)など、生き餌以外の餌も与えることができます。勿論、健康に育てるにはバランス良く様々な餌を与えたほうが良いみたいですが、その飼い主さんは生きた餌を買いに行く時間がなかったのか、乾燥餌や人口餌ばかりを与えて育てていたそうなのです。

その状態で長く飼育を続けていたようですが、やはり生き餌も与えようということで、ネオンテトラを与えたのだそうです。しかし、これまで乾燥餌や人口餌だけを食べて育ったシルバーアロワナは、いつまでたってもネオンテトラに見向きもしません。「このアロワナは魚を食べなくなってしまったのか」と思った飼い主さんは、試しに水草などを植えてレイアウトし、そこにさらに小型カラシンなどを泳がせ、普通では有り得ない混泳を試してみたのだそうです。さすがに食べられてしまったのかと思いきや、それでもアロワナはカラシン達に見向きもしません。そう、この飼い主さんは、水草でレイアウトされた空間に小型カラシン達が泳ぐ美しい水景に、大型のシルバーアロワナが悠然と泳ぐ夢の混泳水槽を実現させたと言うのです。

ネオンテトラ
南米に生息する小型熱帯魚の代表ネオン・テトラ Paracheirodon innesi

同じように育てても実現できるとはあまり思えないような出来事ですが、事実なのだそうです。 アクアリウムの世界は奥が深いですね。 同じ南米に生息する大型魚の代表と小型魚の代表を一緒に飼育できるなんて…。 もちろん自分で試してみる勇気はありませんが、いつかそんな夢の混泳水槽をこの目で観てみたいものですね。

アクリム:松端秀明

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