アクア エントゥ 1994 AUTUMN No.8
アクア エントゥ 1994 AUTUMN No.8

アクア エントゥ 1994 AUTUMN No.8

タイトル アクア エントゥ 1994 AUTUMN No.8
出版社 シーゲル
発行
No. -
本体価格 1,456円
形状 雑誌
サイズ 29.7mm x 21.1mm (A4)
ページ数 117ページ(カラー/モノクロ混合)

ネイチャー・アクアリウムとダッチ・アクアリウム

アクア エントゥの。アクア エントゥは毎号表紙のデザインが素敵ですが、この号はマダガスカル・レースプラント Aponogeton madagascariensis の一株がレースの細かいところまで描かれているイラスト。学術的というか、知的な感じがしますね。

今回の号の大特集は、ネイチャー・アクアリウムの天野尚氏、ダッチ・アクアリウムの吉野敏氏、アクアートの山田洋氏、それぞれの提唱者へのインタビュー記事で、とても読み応えがあります。
現在はネイチャーアクアリウムがとても有名で、水草を使ったレイアウトとして定着していますが、この頃(1994年)は色々な水草レイアウトのスタイルがあり、一世を風靡した天野氏のネイチャー・アクアリウムはまだ特別扱いされていません。

さて、記事の中身ですが、提唱者一人一人へのインタビュー記事が数ページにわたってぎっしりと書かれており、かなり読み応えがあります。天野氏は、今でこそ普通に流通しているCO2が当時すごく高く、どうやって開発しようか考えたかや、アフリカのキリマンジャロの風景に憧れて、イメージを膨らませてから外国に行ってみる、などのご自身の体験談が書かれています。
吉野氏の記事は、本場オランダのダッチ・アクアリウムのある部屋の写真なども交え、ダッチ・アクアリウムについて語られています。写真もオランダのインテリアとアクアリウムがマッチしていて、今はあまり見ることがないダッチ・アクアリウムの世界がこと細かく紹介されています。 記事の中で「単純に言えば、日本で60センチのセットで熱帯魚を飼うというのが、向こうだと、あんなでっかい水槽に水草をたくさん植え、水の状態をよくすることによって魚を上手に飼う。ダッチ・アクアリウムはそういうことから始まってますね。」とあり、ダッチ・アクアリウムのコンセプトに迫る内容になっています。
山田氏は、日本庭園や盆栽などの日本独自の文化をアクアリウムへ取り込んだ「日本式アクアート」について語っています。ご自宅には素晴らしい日本庭園があり、庭を見たときの目の動き方や、日本庭園においての石の存在から興味を持ち、石を使ったレイアウトのことなども触れています。もしかしたら、天野氏のネイチャー・アクアリウムはアクアートの要素を取り入れたのかも?と思うような内容です。

マダガスカル・スリランカ水草の旅

もう一つの特集、水草の自生地レポートとして、レースプラントの自生地、マダガスカルとクリプトコリネの自生地、スリランカについての記事があります。マダガスカルやスリランカの現地レポートはあまり組まれないのでとても貴重です。

マダガスカルでは、谷川がいったん水溜まりのようになって澱んでいて、底にはドロが溜まり直径10メートルぐらいの池のようになっているところに、レースプラントが生えている様子が紹介されています。80〜100センチ近くあると思われるレースプラントの採集の様子が写真と共に紹介されていて、すごい迫力です。こんなに大きなレースプラントは初めて見ました、と取材に行かれた山崎美津夫氏も書かれています。花も1メートルくらいの花茎を伸ばして水面に花を咲かせているようで、実際に現地で見てみたいものです。 水槽内では澄んだ美しいレイアウトに用いられるレースプラントも、現地では泥水で濁った池のようなところに生息しているんだということが解ります。 他にも、ワニの棲む湖の畔にある、巨大なウツボカズラの群生や、バコパ・マダガスカリエンシス Bacopa madagascariensis が湿地にたくさん咲いている様子などの記事が写真と共に見ることができます。

スリランカの旅では、アクアリストが入手して栽培しやすいと言われるスリランカのクリプトコリネを目的として、現地をまわったようです。汽水のポルゴダ湖に自生するラゲナンドラ・オバタ Lagenandra obata やキャラニ川支流のラゲナンドラ・ランキフォリア Lagenandra lancifolia のレッドフラワータイプ、クリプトコリネ・ベケッティ Cryptocoryne beckettii の採集、アポノゲトン・クリスプス Aponogeton crispus の自生の様子、クリプトコリネ・ペッチー Cryptocoryne petchii などなど、色々な種類のクリプトコリネがたくさん紹介されていて現地の写真もあり、参考になります。

詳説水草図鑑

最後に表紙にあるように、水草図鑑の特集が組まれています。クリプトコリネやエイクホルニア、ミクロソリウムなどの種別ごとに細かい種類の紹介と、スペック的な情報ではなくその水草にまつわる説明が書かれており、読みやすい形式になっています。
例えばクリプトコリネ・アフィニス Cryptocoryne affinis の記事では、クリプトコリネがよく溶けてしまうことがあり、初めて育てる人は「溶けないでくれ!」と思いながら育てるが、たいてい全て溶け落ちてしまい、忘れたころに小さな新芽を出し始める、こうした本当の味わいがクリプト好きにはたまらない、などと書かれており、共感するアクアリストも多いのではないでしょうか。

その他にも、水草水槽の安近短や、水草学名講座の特集など、水草についてのコンテンツがぎっしりで、興味深く読み応えがあります。学名について解説している雑誌は少ないので、こういった学術的な観点からアクアリウムを知りたいアクアリストにもおすすめです。アクア エントゥは他の雑誌とはちょっと違った視点の記事が多いので、そういった意味でも楽しめます。

アクリム:松端秀明

CONTENTS

  • ネイチャー・アクアリウム研究
  • ダッチ・アクアリウム研究
  • アクアプラントのレイアウト ノート 水草を使用した魅力いっぱいの水槽を厳選。
  • アクアート研究 山田洋氏に聞く 日本式アクアートは昨今の水草ブームの源泉である。
  • 山崎美津夫 マダガスカル・スリランカ水草の旅 水草を知り尽くした筆者が原産地を案内する。
  • 水草成功術ABC 二度と失敗しないためにもここらで再チェック!!
  • 水草水槽の安近短 入門者でも心配無用の水草の楽しみ方
  • 学名講座 難しいから面白い。知っておくと絶対◎
  • 詳説 水草図鑑 特に知りたい水草をセレクト、徹底研究する。
アクア エントゥ一覧に戻る